ジムでよく見かける”常にお腹にトレーニングベルトを巻いている人”。スクワットや、ベンチプレス、デットリフト、たまにアームカールなどを行っているときに見かけます。いやいや、皆さん待ってください。確かにトレーニングベルトというのは、体幹部を安定させトレーニングには必要なものですが、全ての種目につけてればよいというわけではありません。ということで今回は、トレーニングベルトをつけた時のメリットとデメリット。そして、トレーニングベルトをしているけど実はその種目は必要ないという種目も紹介させていただきます!
この記事を書いた人 モリキン

<資格・履歴>
・NSCA CPT(アメリカトレーナー資格)
・サッカー・ラグビー野球・テニス・スポーツジムにてトレーナー活動
・普段は論文と参考書に埋もれてます📚
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トレーニングベルトをつける本当の意味
トレーニングベルトをつける本当の意味はいったい何なのでしょうか。
トレーニングベルトをつけると、腹圧を外的に高めることができ、脊柱をニュートラルに保つことが容易になります。

本来トレーニング中は、腹横筋や腹斜筋と言われるお腹周りの筋肉を使い、背骨と骨盤周りを硬く固定します。なぜ、これらの筋肉は背骨と骨盤周りを硬く固定できるかというと、筋肉の付着部が原因であり、肋骨の下縁から腰椎、寛骨(骨盤)にくっついてお入り、これらに力を入れることにより、腰椎、骨盤を硬く固定してくれます。このように腹横筋や腹斜筋は固定する作用があるのでコルセット筋と言われたりもします。そして、このコルセット筋に力を入れて、背骨をニュートラルに保ちながらトレーニングを行うのですが、トレーニングベルトを巻くことにより、これらの筋肉にさほど力を入れず、背骨をニュートラルに保ってくれるようになるのです。
背骨をニュートラルに保つ理由
背骨をニュートラルに保つ理由は2つあります。
1つは腰や背骨の傷害・疾患を予防します。
スクワットや、デットリフトというのは腰を反りがちです。腰を反ってしまうと腰椎が過度に湾曲し、椎間板ヘルニアやすべり症といった疾患になり、大怪我に繋がります。

これらの反りを防ぐには、コルセット筋に力を入れ背骨をニュートラルに保つ必要がります。しかし、ベルトをすることにより、コルセット筋に力を入れず反り腰を防ぎ、腰の疾患を予防できます。
2つ目は下半身の筋力を向上に貢献します。
これはかなり専門的な話になりますが、コルセット筋(特に腹横筋)に力を入れると下背部の靭帯(胸腰筋膜)に張力が伝わります。この胸腰筋膜は大殿筋というお尻の筋肉に繋がっており、腹横筋から胸腰筋膜に伝わった張力が大殿筋にも伝わります。大殿筋は股関節を伸ばす作用があり、スクワットやデットリフトの動作に大きく貢献してくれます。

トレーニングベルトをつけると、腹横筋は力を発揮しやすくなり、発揮されやすくなった分、お尻の伸展動作にも貢献してくれる可能性があります。なので、下半身のトレーニングには効果的なのです。
ベルトが必要ないトレーニング種目
先ほど、背骨を真っすぐに保つためや、股関節の伸展動作に貢献するためにトレーニングベルトをつけると解説しました。しかし、ジムの利用者には、どんなトレーニングにもトレーニングベルトをつける方もいます。
基本的に以下のトレーニングはベルトは必要ないです。
1.上肢を使ったトレーニング(バイセップスカールやトライセップスカールなど)
2.体幹部の筋肉を鍛えるトレーニング(ベンチプレス、ラットプルダウンなど)
これらの種目は、確かに背骨をニュートラルに保って越したことはない種目ですが、意識すれば、保てる範囲です。バイセップスカールも、錘が体の前に来るので、猫背やそれにあらがおうと反り腰になってしまうケースはありますが、これはその人の癖であり、スクワットのように錘が重いから反ったり丸めたりするというわけではないのです。このような背骨をニュートラルに保つのが容易にできる上肢を使う種目では自分で腹圧を高め、背骨を自力でニュートラルに保つようにしましょう。でないと、腹圧を高める能力はどんどん低下していきます。
また、ベンチプレスやラットプルダウンでもベルトを巻く方がいますが、ベルトを巻いたらなんでもかんでも力が強くなるというわけではありません。先ほども言った通り、ベルトを巻くとお尻の大殿筋に張力が伝わり、股関節の伸展動作は向上します。しかし、物を押したり引いたりする体幹部の力は向上しないのです。
下半身のトレーニングや、どうしても背中が曲がったり、反ったりしてしまうトレーニング種目はトレーニングベルトを巻くようにしましょう。
まとめ
トレーニングベルトというのは、トレーニング中の姿勢を保たせるために外から補助してくれるものであり、また、ある論文では股関節の伸展筋力に貢献すると言われています。これらが有効であるスクワットやデットリフトはトレーニングベルトを推奨しますが、上肢や体幹部のトレーニングにベルトを使ってしまうと、もともと姿勢を保つ筋肉が衰えてしまいます。すべてのトレーニングにベルトを使うのではなく、適したトレーニングに使うようにしましょう!
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