短距離走などで1位を取りたい…スポーツにおいて疾走能力を高めたい…このようなことから足を速くしたいと思ったことがある人は多いのではないでしょうか。「足を速くする」というのは多くの学会で取り扱われてきたもので、多くの論文や参考文献が存在しております。そして、足を速くさせるにはたくさんの要素があることも事実です。それだけ「足を速くする」というのはとても興味深い運動方法ということなのです。足を速くするための要素を一つの記事で全部紹介するのはとても難しいことなので、今回は足を速くさせるために重要な要素の一つ「加速場面」を速くさせる方法を解説させていただきます。
加速場面が重要な理由
まず初めに、加速場面というのはどのような場面のことを言うのかを説明します。
本来、短距離走というのは「加速局面」「最高速度局面」「維持局面」この3つに分けることができます。
・加速局面…速度を大幅に向上させる
・最高走度局面…最高速度に到達する
・維持局面…速度を維持する

この加速局面は大体高校生~成人にかけて30m、小学生で15mほどの距離で行われます。そしてこの加速局面において加速する能力が高ければ最高速度が高くなり、最高速度に到達するのが速くなります。

グラフでは黒の線が1番疾走速度が高くなります。理由としては、最大速度の到達が速く、最大速度を最も高められるからです。加速局面の加速能力を高めることが、最大速度を向上させる要素になるということが分かります。
みなさんは、どうすれば足が速くなるのだろうと考えたときに、最初のスタートダッシュのことは考えず、中盤30m~40mあたりを想像して、「この時にもっと蹴る力があれば」であったり、「この時にもっと腕を振っていれば」など想像していませんか。残念ながらこの時は速度を維持する局面であり、それ以上は速くなりません。足を速くさせたいなら0~30mの加速する場面を重視しなければならないのです。以上のことから、足を速くするには加速局面が重要だということがわかります。
加速局面で重視するポイント
加速局面で重視するポイントは2つ。「ピッチ」と「ストライド」この2つが重要になってきます。
ピッチ…足の回転速度
ストライド…歩幅
疾走速度=ピッチ×ストライド ←このように速度を表すことも可能です。
この両方を向上させていくことがポイントなのです。しかし、これらはトレードオフの関係と言って、どちらかを極端に向上させてしまうと、どちらかが低下してしまうということです。歩幅を大きくしすぎると足の回転速度が落ちてしまうということです。この逆も同様に。
なので、どちらともバランスよく向上させていき、どちらかに偏っている、または、どちらかが成長させる見込みがある場合などを考慮してそれぞれのトレーニングを行っていかなければなりません。
<ためになる豆知識💡>
ここで、人はなぜ腕を振って走るのかという点を解説していきます。
人は腕を振って走る理由は、作用反作用の法則を使っているからです。

左の図のように、片方の腕を後ろに引っ張ると反作用の法則で反対方向の足が出てくるようになっているのです。
片足立ちになって、腕を振ってみましょう。わかりやすくするために腰の回転を利用して腕を振ってみましょう。左足の片足立ちになった時、腕と腰を右後方にひいたときは左足が前に出ようとすると思います。反対も同様に。この仕組みと同じで腕を振ることにより、足が前に出しやすくしているのです。
そして、加速局面の時、皆さんは無意識のうちに通常より大きく腕を振っているのです。理由はもうわかりますよね。この加速局面はより歩幅(ストライド)を向上させようと人はするので、足を大きく出そうとして、無意識に腕が普段より大きく振っているのです。これは決して悪いことではなく、逆に撮影して腕が小振りの人は大きく振ってみましょう。より足が前に出やすくなると思います。
加速局面速度向上トレーニング3選

<カウンタームーブメントジャンプ>
➀足を肩幅ほど開き手は頭の後ろに回す
②勢いよく写真のように膝を曲げる
③素早く膝を伸ばし、勢いよく真上に飛ぶ
・できる人は連続で接着時間を短く、高く跳ぶ
・慣れないうちは一回ずつ止まって行う

<シングルレッグホップ>
➀片足立ちになる
②素早く膝を曲げ、勢いよく前に飛ぶ
・できる人は連続で前に全力で飛ぶ。
・できない人は一回ずつ
・着地時膝が足先より出ないようにする

<坂道30mダッシュ>
➀坂道の30mを全力ダッシュする
・速度が10%落ちないようにする
※速度が10%以上落ちてしまうと逆効果の可能性あり
まとめ
・足を速くさせるには加速局面が大事
・加速局面を向上させるには「ピッチ」と「ストライド」が重要
・「ピッチ」と「ストライド」はトレードオフの関係
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