野球の走塁時、「あと1秒速くベースにたどり着いていたらアウトにならずに済んだのに…」「あそこの場面でホームにたどり着けていればチームを勝たせることができた…」と悔しい思いをしたことはないですか?他にも思い返してみてください。ベース間を走り抜ける時、ボールが自分の向かうベースへ回されるのがゆっくりと見え、「このまま走り抜けたらアウトになってしまうだろうか…」「もっと足が速ければ…」とプレー中に思ったことはあるのではないでしょうか。
自分は足が遅いから仕方がないと考えるのはまだ早いです。走塁の際に行われる体の正しい使い方と、確実に効果が出るトレーニングを行うことにより誰でも走塁は速くなるのです。例え、野球を始めて1ヵ月だとしてもトップレベルの走塁にたどり着けれます。
この章では、私がM高校野球部にトレーナーとして携わって実際に指導している走塁スピードを向上させるトレーニングと、走塁時の体の使い方を紹介させていただきます。
多くの野球児に行ってきたトレーニングであり、複数の論文からメカニズムを解説させていただきますのできっとあなたもこの記事から情報とトレーニングを得てさらに強くなれることでしょう。それでは早速見ていきましょう。
走塁において正しい走り方

<走塁と50m走は別物>
走塁は50m走のような短距離走を走る感覚だと思ってはいけません。本来50m走や短距離走は最初の数10メートルは加速して残りの距離は維持しようとして走ります。走塁を行う際は常に加速させるイメージで走らなければなりません。
なぜ、50m走のように走ってはならないのか。これは人が短距離を走るメカニズムに基づいています。人は本来、最初の30mは加速が行われ、残りの距離は速度が維持され、次第に速度は減少していく。この流れになっております。しかし、ベース間の距離は27mになります。27mの間で速度を維持しようと走る局面は存在しないのです。
しかし、思い返してみてください。ベースを走る際、常に速度が向上している感覚はありますか?50m走のように「このまま走り抜ける」といった感覚で走っていないでしょうか。そうなんです。ベース間の中で常に加速している選手は少なく、大半の選手はその27m先の中で、加速する距離を決めつけ、残りの距離は速度を維持して走る。このようになっているのです。もう一度言いますが、人は本来30mは加速することが可能なのです。ベース間では常に加速することは可能なのです。しかし、ベースの中で、勝手に無意識のうちに加速する距離を制限してしまっているのです。
なので、走塁する際は意識して常に加速しようとして走り、速度を維持、または減速させないようにしましょう。
<加速能力を向上させる足の動かし方>
加速能力を向上させるためには
・歩幅を大きくすることと
・足を速く振り下げる
・速く振り上げる
この3つが重要になってきます。下の図を見てみましょう。

大きいタイヤと小さいタイヤを想像してみてください。同じ回転速度で大きいタイヤと小さいタイヤが回るとしたら大きいタイヤの方が速いですよね。そして、それにプラスで回転速度が向上するとしたら、とても速い速度を出せることでしょう。これも走行速度に当てはまり、歩幅を大きくすることと、足の振り上げ、振り下げ、いわゆる足の回転速度が向上すれば走行速度は向上するのです。
<加速能力を向上させる腕の動かし方>
腕は大きく後ろに引くイメージをしましょう。前に約60~65°、後ろに約70~75°。肘の角度は65°~75°以内を保ち、リラックス状態を保つことを心がけましょう。
腕を後ろに引く角度が大きくなると良い理由として、作用反作用の法則が挙げられます。
皆さん腕振りの重要性を理解するために実践してみましょう!
➀片足立ちになり浮いている足は膝を90度ほど曲げましょう
②腰の回転を利用して腕を大きく振ったり小さく振ったりしましょう
③下半身はぶれないようにしっかり固定しましょう
どうでしょうか皆さん。大きく振ったほうがより足はこらえようと力を入れましたよね。また、他にも左足で立っているとして、右肘を後ろに大きく引いたときに左足は大きく力を発揮したと思います。
これが腕振りの重要な秘訣であり、腕を大きく後ろに引くことにより、反対の足が大きく前に出ようとします。大きく前に出ようとするということは歩幅を大きく確保できるようになります。
腕を大きく振る=歩幅を確保できる
このようになるので、腕は後ろに大きく引くイメージをして走りましょう。しかし、大きく引きすぎても動作に悪影響が出る可能性があるので70~75°引くようにしましょう。

走塁を1.5秒速くするトレーニング4選

歩幅を向上させるトレーニング

<目印短距離走>
➀自分の身長の2.5~2.8倍(女性の場合は2.3~2.5倍)に目印をつけていく。
②全速力で走りその目印を足が超すようにする。

<上り坂スプリント>
➀3~7°の上り坂をダッシュする。
②30~50mほど行う。
足の回転速度を向上させるトレーニング

<高速ドレッドミル>
➀自分の速度より10%以内で高い速度を決める。(最高時速10㎞であれば11㎞)
②最初は緩い速度から始め、準備が出来たら決めた速度まで徐々に上げ、6秒走る。

<ミニハードル走>
➀30㎝ほどのコーンを1m間隔で置く。
②コーンを蹴らないよう、コーンの間に足が来るように走る。
まとめ
走塁速度を向上させるには、常に加速するイメージで走ることが重要だということがわかりました。そして、加速能力を高めるには歩幅の増大と、足の回転速度を向上させる必要があります。また、腕を後ろに大きく振ることにより、大きな歩幅をゲットできるので、腕の振りも意識しましょう。
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